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連載インタビューvol.23-1

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プロ野球 東京ヤクルトスワローズ 公式チアリーダーズ Sparkles 〜2011シーズンの挑戦〜
 
プロ野球、東京ヤクルトスワローズを盛り上げる公式ジュニアチアリーダーズ「Sparkles」。2010年4月の発足から1年半が過ぎ、メンバーは42名まで増え、スタジアムでの認知も高まってきた。今回のDazzling Styleは「2011シーズン、東京ヤクルトスワローズ公式ジュニアチアリーダーズ『Sparkles』の挑戦」と題し、今季を締めくくるファン感謝デー出演までの歩みを追い、メンバーの素顔や成長を紹介したい。
 
2011年9月15日(木)レッスンにて
 
9月15日、神宮外苑にある練習スタジオを訪ねると、それに気付いた何人かの子どもたちが「こんにちは」と言う元気な声と笑顔で迎えてくれた。
レッスンは毎週木曜日、小学1年生から3年生までが午後4時50分からの1時間、4年生から中学2年生までが午後5時55分からの1時間で行われていた。メンバーが通う学校や生活エリアはバラバラで、遠くは西東京市や浦和から通ってきている子もいる。みなチアが好きなのはもちろん、東京ヤクルトスワローズをSparklesの一員になる前から応援してきた子たちが殆どのようだった。

取材に訪れたこの日、僕が最も印象に残ったのは、レッスンそのものより、むしろ最初の出欠確認の様子だった。ディレクターの福田里奈とインストラクターの荒井しおりが手際よく子どもたちを集めて名前を読み上げる。と、その最後だった。

「みんな、今は遅れてきた人を見ることが大切?それとも話している人の目を見ること?」

福田は淡々と問いかけた。この日はJR線でトラブルが発生し、半分近い生徒が開始時間ぎりぎりでスタジオに到着した。そのたびに、先に到着していたメンバーは入口を振り返っていたのだ。

「もし先生が、誰かが話している時に今のみんなのようによそ見をしていたら、嫌に思わないかな?」

みな一様に黙って考え込んだ。福田が言うように、たしかにこれからレッスンを始めようというのに、集中力を欠いた行動に受け取れた。ただ、おしゃべりをしていたわけではなく、彼女たちが小学1年生から3年生ということを考えれば、見逃してもよさそうな気もした。しかし福田はそうしなかった。そこには、指導者としてこんな気持ちがあったからだ。

「『Sparkles』というチームの一員として活動し、スタジアムのお客様に楽しんでもらうために活動している選ばれたメンバーである事を、いつも心にとめていて欲しいんです。
お客様の前でパフォーマンスをする以上、ヤクルトスワローズの選手と同じプロという立場にいると、私自身は考えています。なので『まだ小さな子どもだから』というような見方で彼女たちを見ていませんし、『自分たちは東京ヤクルトスワローズのファミリーとして活動している』という自覚を、普段の練習から意識させています」


福田のそうした対応は、子どもたちを認め、尊重しているからこそだった。また子どもたち自身も、そうしたプロ意識を子どもながらに感じているからこそ、福田の問いかけを真剣に受け止め、そして素直に反省していたように思えた。そして、このあたりが一般の習い事として活動するチアチームとプロ野球チームを応援するSparklesの違いかもしれない。指導者と子どもたちが本当の意味で信頼し合い、本気で向き合える環境。Sparklesにはそれがあった。

「じゃ、気持ちを切り替えて始めましょう!」
「はい!」


張りのある透き通った声がスタジアムに響いてレッスンが始まった。ウォーミングアップ、基本動作、そして週末に神宮球場で行うパフォーマンスの確認と進むに連れ、メンバーの額には汗が滲みテンションも上がってくる。レッスン前はあどけない表情をしたごく普通の女の子に見えた子どもたちの顔つきは、一パフォーマーとしての輝きを見せ始めた。

「ひとりひとりが自分でチャレンジできる環境を作り、サポートしてあげることを心がけて、手取り足取りはサポートしないようにしています。たとえば、積極的に意見の言える子もいれば、そうでない子もいる。言える子はそうでない子の存在に気付いてあげて、勇気づけたりして欲しいし、一生懸命に聞こうとする心を持って欲しい。発足1年半の若いチームでまだまだの部分は沢山ありますが、出来るようになってきていることも増えてきました」(荒井)

そうこうするうちにレッスンはあっという間に終了。わずか一時間ではあるが、密で濃い充実した内容だった。そしてレッスンが終了すると同時に、メンバーはまたごく普通の女の子の表情に戻り、「宿題やってきた?」などと仲間同士、笑顔で話している姿が印象的だった。

「パフォーマンスレベルを言えば、経験値の違いもあって個々のバラつきはあります。でも、挨拶や礼儀など、基本的なスピリットのあり方に関しては、全員、同じレベルになるよう気を配っています。でも、気持ちのある子ばかりなので、『情熱を伝える』という部分では、現段階でも素晴らしいパフォーマンスの出来るチームだと自負しています」(福田)

Sparklesは10月8日(土)の広島戦で、レギュラーシーズンとしては今季最後のパフォーマンスに挑む事になっている。次回はそれに密着して当日の様子をリポート。子どもたちが今シーズンにかけた思いを紹介したい。
 
(取材・文/会津泰成)
 
(2回目に続く)
 
Sparkles(スパークルズ)
プロ野球 東京ヤクルトスワローズ公式ジュニアチアリーダーチームとしてとして2010年4月発足。春と秋に新規メンバーを募集しており、2011年9月現在、小学1年生~中学2年生まで42名が在籍。
神宮球場でのスワローズ公式戦の応援では、試合前を始めイニング間にダンスパフォーマンスを行い、スワローズファンと共にスタジアムを盛り上げている。ファン感謝デーにも出演し、シーズンを締めくくる応援パフォーマンスを行う予定。

☆ディレクター:福田里奈(ふくだりな)
嘉悦女子中学・高校時代2度の全国大会優勝・世界大会出場。Xリーグ日産スカイライナーズで活躍し、2001年から5期連続でオールスターチア『VENUS』選出。イベント・メディアへ多数出演。
☆インストラクター:荒井しおり(あらいしおり)
玉川大学JULIUS主将を務め、全米大学チアダンス選手権で2位入賞。卒業後はプロ野球 東北楽天ゴールデンイーグルス公式チアリーダーズ「東北ゴールデンエンジェルス」に発足から5期連続で在籍。キッズチア指導にも携わる。

Dazzling Style vol.14では指導者の面から見たSparklesをご紹介しています。併せてぜひご覧ください。
 
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