ダズリング・スタイル 輝き続ける女性のためのWEBマガジン
HOME > 連載一覧 > vol.13 塩崎 佐恵(前篇)
ダズリング・スタイルとは
チアリーディングは、子供から大人までそれぞれの年代で楽しみながらできて、様々な効果が得られるスポーツです。単にダンスを踊るだけではなく、頑張っている選手やチームの応援を通して“一体感や感動を共有する”といったスポーツの新たな楽しみを知ることもできます...
続きを読む...
会津泰成公式ウェブサイト

PEPsチアリーダーズ
連載インタビューvol.13
前篇 後篇
『Dazzling Style』連載 Interview 1st Series 終了記念 Cheer Can Make It Dazzling 塩崎 佐恵(しおざき さえ)
 
孤軍奮闘だった創設元年

チアに関わる僕の取材活動の始まりは、いまから6年前の2005年、彼女との出会いがきっかけだった。

当時僕は、野球漫画の原作を書く取材のため、毎週のように仙台に通っていた。取材活動を通して、僕は、ひときわ輝き、はつらつと仕事をしていた彼女と出会った。彼女の名前は塩崎佐恵。東北楽天ゴールデンイーグルス公式チアリーダーズ「ゴールデンエンジェルス」のエグゼクティブプロデューサーとして指揮を執っていた彼女は、初代監督の田尾監督に負けず劣らず孤軍奮闘していた。

プロ野球参入元年、何もかもがドタバタの中でスタートを切った楽天球団は、シーズンを通して調子は上がらず、最下位が指定席だった。そんな中、ゴールデンエンジェルスは、クリムゾンレッドに染まるスタジアムを盛り上げ、選手とファンの一体感を演出するのに一役買った。

「チアは元々、アメフトの応援から始まっているので、理想としては、試合中も選手と同じフィールドに出て、お客さんと一緒に盛り上がりたい。でも、野球の場合は、試合中に出られるのはイニング間だけなので、アピールできるのは長くても3分間。しかも、広いフィールドでは出て戻ってくるだけで1分30秒かかることもある。そうなると、せっかくのパフォーマンス時間も、バタバタしている間に終わってしまうので、チアの良さがなかなか伝わらない。そこは正直、悩み所でした。」

いまでこそプロ野球チームの応援にチアリーダーが起用されていても違和感はないが、当時は稀有な存在だった。そのため、ファンはもちろん、関係者からも理解を得なければならず、塩崎率いるエンジェルスは、試合開催時だけでなく、さまざまなイベントやボランティア活動を通して普及に努め、先ずは自分たちの存在自体を理解してもらうことが必要だった。

「最終的に、ファンにも球団関係者にも、『チアリーダーがいるだけで、球場が華やかになるよね』と言ってもらえた事は、嬉しかったですね。エンジェルスをきっかけにして、プロ野球とチアリーダーの関係性をより良いものに出来たと思います。エンジェルスを立ち上げたことで、『12球団すべてにチアリーダーがいないと、寂しいよね』という部分を少しは作れたのかな、と思っています。」

 
チームもチアも、大きく成長した

あれから6年が経ち、ゴールデンエンジェルスもすっかり地元に定着し、メンバーは、地元女の子たちの憧れとして、その地位を確立している。ちなみに、トップチームの妹分にあたるジュニアチアリーダーズも、現在450人がスクールに在籍し、ホーム公式戦やイベントへの出演、そして、将来のエンジェルスを目指してレッスンに励んでいる。もはや、エンジェルスは、仙台になくてはならない存在になっているのだ。

6年前、塩崎はこう話していた。

「チアは、人に夢を与えられる存在だと思うんです。日常に追われて、『ま、いいか』と思っている人は、世の中には大勢います。でも、『あの人がチャンジして頑張ってやっているならば、私も、何か新しいことをやってみようかな』と思ってもらえたら、嬉しいですね。自分がさまざまなことを学び、成長させてくれたチアを通して、そういうメッセージを世の中に伝えたい。幅広い年齢の女性を採用したのは、その気にさえなれば、誰でもいろいろなことにチャレンジできますよ、と伝えたかったからでした。」

6年前の彼女の思いは、大きな実を結んだ。穏やかで協調性がある反面、照れ屋で積極的に自分をアピールすることは苦手とする東北の文化に、「元気」や「勇気」というエッセンスを与えた。挑戦する心を忘れずに生きる、というメッセージは確実に、多くの人たちにひろがっていた。

ゴールデンエンジェルスを仙台に根付かせた塩崎は、その発展を後任に託し、いまは新たな夢に向かい歩み始めていた。結婚、出産を機に現場で指導する機会は減ったが、熱きチアスピリットを失わず活動を続けていた。

活動拠点や方向性に関係なく、「チア」を愛するすべての人たちをつないで、発展させようとするプロジェクト。つまり、それが、「DAZZLING STYLE」だった。

   

(取材・文/会津泰成)
 
(2回目に続く)

塩崎 佐恵(しおざき さえ)
12月27日生。京都府出身。高校時代まで米国で過ごし、1989年に帰国。国際基督教大学チアリーディング部にてキャプテンを務める。1992年チアリーディング指導者資格取得。 卒業後、社会人アメフト協会Xリーグ「東京海上ドルフィンズ「(現「オール三菱ライオンズ」)に所属。『Cheerleader of the Year賞』他を連続受賞。 2002年 指導者に転身し、同年Xリーグ・オールスター「VENUS」、2003年ベガルタ仙台チアリーダーズ、2005年東北楽天ゴールデンイーグルス公式チアリーダーズ「東北ゴールデンエンジェルス」など多くのチームを発足、指導。 現在、PEPsチアリーダーズプロデューサー、ベガルタ仙台チアリーダーズ・チーフディレクター、ジュビロ磐田公式ジュニアチアリーダーズ・プロデューサー、東京ヤクルトスワローズ公式ジュニアチアリーダーズ・プロデューサー、(株)PEPs取締役Chairmanを務める。
(株)PEPs
http://www.peps-cheer.com/
連載 Interview 一覧
▲このページの先頭へ戻る
一覧はこちら