ダズリング・スタイル 輝き続ける女性のためのWEBマガジン
ダズリング・スタイルとは
チアリーディングは、子供から大人までそれぞれの年代で楽しみながらできて、様々な効果が得られるスポーツです。単にダンスを踊るだけではなく、頑張っている選手やチームの応援を通して“一体感や感動を共有する”といったスポーツの新たな楽しみを知ることもできます...
続きを読む...
会津泰成公式ウェブサイト

PEPsチアリーダーズ
連載インタビューvol.2
前篇 後篇
 
現実の厳しさを知る事も大切
 
Q. 渡米して最初に入りたいと考えていた、オクラホマ州立大のメンバーには、当初は入れなかったと伺っています。

A. おそらく、わたし自身が(学部生ではなく)英語学校の学生だった事が理由のひとつ。あとは、わたしとは別に、5年間在籍しているアジア系のメンバーがいたんです。メンバーは10人しか採用しないので、「アジア人はふたり要らない」という、暗黙の了解みたいなものがありました。

Q. 正直、差別的なものもあった?

A.地域的に、イタリア系アメリカ人や有色人種のいない土地柄だったので、そうした保守的な考えも、影響していたのかもしれませんね。でも、そこであきらめずに、悔しさを次のステップに活かそうと頭を切り替えました。いまにして思えば、最初からすべて上手くいかなくて、逆に良かったと思っています。海外で挑戦する事の難しさ、現実の厳しさを知る事も大切ですから。
 
チアリーダーの存在や価値を皆が認めてくれている文化
 
Q. なるほど。でも、以後はスティーヴン・F・オースティン州立大学のメンバーになり、全米大学学生選手権大会優勝。さらには、NFLのダラス・カウボーイズ、シアトル・シーホークスなどで、プロのチアとして活躍します。日本人チアとして革命を起こしましたが、当時の生活から学んだ事は何ですか?
 
A. 日本では、いまでも正直、”チアリーダー”という存在がステイタスを認めてもらえているとは言い難いですよね。でも、例えばダラス・カウボーイズでは、わたしたちチアリーダーは、地域で愛されるマスコット的な存在として子供から大人まで憧れの対象のような存在でした。

Q. アメフトの選手だけでなく、チアのメンバーもまた、尊敬される対象だった。

A. 「スイートハート」という別名があるくらい、チアリーダーの存在や価値を、みなが認めてくれていました。「これは、日本にはまだない文化だ」と実感した事は、帰国後、すごく役立ちました。「チアの活動を通して社会貢献や奉仕が出来る」と学んだ事も大きかったですね。
 
わたしは日本で何が出来るのか?
 
Q.「日本にはない文化を、自分が根付かせられるのでは?」という可能性を感じた。

A. はい。実際、現地でプレーヤーとして体験した自分自身がやるべきなのではないかと。それが、わたしに出来る、チアに対する恩返しでもあるし責任ではないかと、強く感じました。

Q.それが、2001年に帰国したのち立ち上げた、アルビレックス、チアリーダーズの活動にもつながる。

A.「では、わたしは日本で何が出来るか」と考え、「自分でチームを持つ事が良いのではないかな」と思った時、チアのチームを持ちたいと思っていた方と、たまたま引き合わせてくれた人がいたんです。学生時代同様に、この時も、人のつながりに助けられました。
 
夢は見るだけじゃなく必ずかなうもの
 
Q.指導者になって現役時代との違いは?
 
A. 自分でやるのは簡単。でも、人に教えるのは大変(笑)。「なんでこんな事がわからないの!?」と思うような事が、なかなか伝わらない。みんなをまとめて行く事は大学時代もしていましたが、アルビレックスのメンバーは、レベルも年齢も立場も違いました。なかには、自分より年上のメンバーもいましたし。そんな多種多様なメンバーをひとつにまとめていく事は、もちろん初めてでした。なので、当初は相当戸惑いました。でも、楽しかったですよ。いまも楽しいですけれど。
 
Q. 立ち上げから来年で10年。新潟での、チームの立ち位置や存在に変化は?
 
A. いまは、なくてはならない存在になってきました。スタジアムで踊らない期間があったりすると、サポーターの方が「寂しい」と言って下さったり。サッカーの選手だけでなく、チアリーダーも、サインを求められる存在になりつつあります。

Q.今後の夢や目標は?

A.将来、アメリカでチアをしたい、NFLに入りたい、と希望に燃えているような子と出会ったら、何かしらのサポートをしてあげたいですね。「夢は見るだけじゃなくて、必ずかなうものだ」と教えてあげたい。一つずつ形になるように一つずつ努力していけば、必ず夢に近づける。そんな事をOGとしてエールを贈り続けたいですね。


(取材・文/会津泰成)

三田 ジョンストン 智子
 (みた じょんすとん ともこ)
5月22日生。玉川学園女子短期大学在学中に、チアダンスクラブ、『玉川大学体育会ダンスドリルチーム JULIAS』創設。1993年、学生選手権制覇。1994年渡米し、オクラホマ州立大学留学。のちスティーヴン・F・オースティン州立大学のメンバーとして、全米大学学生選手権大会優勝。NFL、ダラス・カウボーイズ、シアトル・シーホークスなどで活躍。2001年帰国後、『有限会社ダンス・チアーエンタテインメント』設立。
連載 Interview 一覧
▲このページの先頭へ戻る
一覧はこちら