ダズリング・スタイル 輝き続ける女性のためのWEBマガジン
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チアリーディングは、子供から大人までそれぞれの年代で楽しみながらできて、様々な効果が得られるスポーツです。単にダンスを踊るだけではなく、頑張っている選手やチームの応援を通して“一体感や感動を共有する”といったスポーツの新たな楽しみを知ることもできます...
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PEPsチアリーダーズ
連載インタビューvol.5
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彼女に「モットーは?」と質問すると「信じるものは救われる」と答えた。どんな困難に直面しても、自分自身そして仲間を信じ、最後まで諦めない。そんな前向きな精神の本領は、4月、フロリダで開催されたICUチアリーディング&ダンス世界選手権でも発揮された。
 
日本のチア界にとって大きな進歩に!
 
A. わたしは日本代表チアダンスチーム選手団のまとめ役として参加しました。参加54カ国、総動員数3万人という非常に大きな大会でしたが、日本はジャズとフリースタイル部門でそれぞれ銀、ヒップホップ部門で金と、合計三つのメダルを獲得する事が出来ました。代表の選考方法も大会直前まで決まらないという、わたしも胃の痛い日々が続きましたが、最終的には、海外からは「日本チームから学ぶ所がたくさんあった。連れてきてくれてありがとう」と感謝され、参加した日本の選手からは「日の丸の重みを感じる、すごく貴重な経験が出来ました」と言ってもらえました。日本のチアダンス、そしてチア界全体にとっても大きな進歩だったと思います。
参加が実現すればさまざまな事が変わるはずと信じて、諦めずに準備した思いが、神様に通じたように思いました。
 
オンとオフの切り替えが成長に繋がる
 
Q. 現在は、子どもたちへの指導に力を入れています。指導する上で大切にしている事は何ですか?

A. さまざまな意味で世界を目指せる選手、世界で通用する人間に育って欲しいと思いながら指導しています。高い向上心を忘れない。ただそうした中でも、子どもたちが楽しめる心を失わないように気をつけています。

Q. 楽しむ心こそが、成長につながる。

A. そうですね。子どもたちを連れて合宿をした時も、最初の二日間はピリピリムードで練習をしました。でも二日目の夜はゲーム大会や花火、すいか割りをして楽しみました。で、次の日はフレッシュな気持ちに戻って復習する。そうしたオンとオフの切り替えは大切ですし、遊びのなかから生まれるチームワークも大切です。
またこの合宿では学年に関係なく友情が芽生えました。やるべきことはしっかりやる。でも、遊ぶ時は思い切り本気で遊ぶ。そういう意識付けは大切にしていきたいですね。
 
悲しみが教えてくれた「本気で楽しむ」ことの大切さ
 
Q. お話を伺っていて、ご自身の人生観としても「楽しむ」というキーワードが凄く伝わってきます。

A. 十代で二度遭遇した友達の死が、大きく影響しているように思います。
一度目は、小学校6年生の時でした。日本語学校で仲の良かった友達が授業中に具合が悪くなり、わたしが保健室に連れて行く事になったんです。でも途中で顔が青白くなり、救急車で運ばれましたがそのまま……。先天性の脳内出血でした。二度目は中学二年生の時でした。引っ越した先で、友達が火事に巻き込まれて亡くなってしまった。
感受性の鋭い時期に、二度も友人の死と向き合う事になった。それはわたしに「人間の命は思ったよりはかないもの」と意識させるようになりました。そして、「人生はしっかり楽しまなければ」と、より強く思うようになりました。
 
指導者としてのプレッシャーと快感
 
Q. 子どもたちに、チアと通して伝えて行きたい事は何ですか?

A. 信じる事と努力する事。まさに「チアハード&ワークハード」です。そして常に「ありがとう」という感謝の気持ちと、素直に「ごめんなさい」と言える謙虚さを伝えていきたいと思っています。

Q. 逆に子どもたちから学ぶ事は?

A. 子どもは自分の映し鏡。わたしがびしっと教える時は、子どもたちも、同じようにぴしっとする。でも少しでも気を緩めれば、子どもたちも緩んでしまう。いま協会の仕事をしていて代表という立場にいたとしても、子どもたちにとっては、わたしは一人の先生です。子どもたちに100%のエネルギーを注げる存在であり続けなければいけない。大変な事ではありますけれど、快感でもあります。

Q. なるほど

A. 注いだ情熱は、注いだ分だけ返ってきます。子どもたちに本格的に指導を始めて5年になりますが、ようやく最近、「努力をして、仲間を信じて」という事が浸透し始めたように感じます。それが良いカルチャーになって、「上の子が下の子の面倒を見て、またその下の子の面倒を見て」というスタイルが完成したら、次の世代に夢を託して、わたし自身はそろそろお払い箱で良いかな(笑)。もちろん、良い意味で、ですけどね。
 

(取材・文/会津泰成)

堀 郁 (ほり いく)
6月5日生。神奈川県出身。小学校~高校まで過ごしたアメリカでチアリーダー、ドリルチームにふれる。青山学院高等部にてソングリーダーとして活躍。卒業後、大学・社会人時代ともにクラブチームに所属する傍ら、コーチとして活躍。スポーツ団体、学校などの応援活動を指導。USA (United Spirited Association)Japanマーケティングディレクターとしてスポーツイベントのプロデュースやプロの育成など、国際レベルでのチア普及活動を手がける。
日本スポーツチア&ダンス連盟代表、CHEERMAX代表・ディレクター、AACCA公認インストラクター
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