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連載インタビューvol.14
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プロ意識を持ったチームづくり
 
『Sparkles』のメンバーの多くは元々スワローズファンで、物心つく前から神宮球場に通っていたそうだ。しかし、ディレクターの福田は、

だからこそ、『Sparkles』のメンバーとなった今は、“ファン”ではなく、“スワローズファミリーの一員”として行動する事を大切にするよう指導していた
という。
『観戦チケットの代金には、自分たちのパフォーマンスも含まれていることを忘れないように』といつも話しています。プロフェッショナルである事、それは、家を出て、荷物を持って集合するところから始まっている。だから、荷物の置き方、挨拶ひとつも注意する。『いつ、誰が見ても気持ちよくいてもらえるような自分でいよう』と都度伝えています

プロ意識を持つ――。そうした福田の指導方針をメンバーに浸透させるには、保護者の協力も不可欠だ。立ち上げ当初は、我が子の登場時間やポジションを気にする保護者もいたそうだが、チアスピリットについて、『Sparkles』というチームのあり方について何度も話をして理解を得るよう努め、強い信頼関係を築くことができた。そして、家庭でのサポートがあったからこそ、1年目から高い意識とまとまりのあるチームになったと感謝を込めて福田は語る。
 
ペアで教える良さを感じて
 
仙台で活動していた2009年シーズンまでは私自身も現役で、指導していた子供たちも“トップチームの下にいるジュニアの子たち”でした。『一緒にパフォーマンスしている』という意識があったので、言葉で伝えるだけでなく、試合でのパフォーマンスを実際に見てもらうことで伝えられる部分もあった。でも今は指導一本なので、それは出来ない。その分、問いかけた時の反応をつぶさに観察したり、言葉の裏にある真意を感じ取ることを心がけています。かといって、指導者という立場だけに囚われても駄目で・・・。指導に関して今まで以上に試行錯誤した一年でした」(荒井)

指導者と現役とを並行していた荒井にしてみれば、指導者一本でのスタイルは、まだ完全になじめない部分があるのかもしれない。そんな荒井にとって、パートナーでもある福田の存在は貴重だった。

それまで一緒のチームで活動したことは全くなかったのですが、プレーヤーとしての歩みに似ている部分が多いこともあって、いろいろ共感できますし、部活の先輩みたいな空気を感じます。教え方や伝え方の工夫なども勉強になりますし、いつも良い刺激を頂いています

その一方で、レッスンではお互い違う面を出し合うよう、福田も荒井も気を配っている。

例えばメンバーを叱る場合でも、どちらかが叱れば、もう一方は冷静に見て、一歩引くようにしています。せっかく二人で見ているので、二人だからこそのメリットを出せる指導を心がけています」(福田)
 
2年目の挑戦
 
2010年シーズン、『Sparkles』の神宮球場での出演は8試合だった。学校がある日は夕方の集合が難しいため子供たちが参加できるのは休日に限られる。加えて、大人チームのパフォーマンスや他イベントとの兼ね合いもある。そうした限られた機会のなかで、福田も荒井も、いかにチアらしさを出せるか、『Sparkles』らしさを出せるかをテーマに活動した。
4月にスクールが始まって、7月にはデビュー。約3ヶ月間で4曲のダンスを踊れるようにするだけでなく、公式チアの自覚も育てなくてはならない。レッスンは週一回60分。限られた時間の中でやらなければならなかった。

指導者として大きなプレッシャーでした。でも、メンバーも一生懸命ついてきてくれた。『一期生として、いま出来る最大限の努力をしよう』と目標を立てて、一緒に乗り切ることができました」(福田)

試合出演を重ねるうちに、メンバーにさまざま変化が見えてきました。例えば、試合経過を気にする子が増えて、休憩時間のたびに『先生、いま試合はどうなっていますか?』と聞いてくるようになりました。試合の状況によってパフォーマンスに変化をつけようと考えるようになっていたんですね。それに気付いたとき、『これからこの子達は、もっとレベルアップ出来る!』と確信しました」(荒井)

福田と荒井、そして何より、子供たちの努力の甲斐あり、『Sparkles』は一年で大きく成長した。同時に、スワローズファミリーとしての認知度も飛躍的にアップし、今季は10試合に出演する予定だ。

最後に、2011年シーズンの目標について聞いた。

去年は失敗しても『一年目だから』と笑って許されました。でも今年は、それは出来ません。基礎力のレベルアップ、そして、ファンの方々に対する意識をより高めていきたいと思っています。『Sparkles』が登場すると、いつもの試合より楽しくなる、と思っていただけるようなパフォーマンスをお見せしたいですね」(福田)

スワローズの日本一に向かって、自分たちチアのメンバーも一喜一憂できるくらいの思い入れを持ちたいと思います。スワローズファミリーの一員として、遠慮することなく、最後まで突っ走っていきたいです」(荒井)

第2期『Sparkles』は、どんなきらめき(sparkle)を見せてくれるのか。6月のスタジアムデビューが待ち遠しい。
 

(取材・文/会津泰成)

   
福田 里奈(ふくだ りな)
1月13日生。東京都出身。嘉悦女子中学でチアダンスを始め、中学・高校時代2度の全国大会優勝・世界大会出場を経験。Xリーグ日産スカイライナーズで活躍。また2001年から5期連続でオールスターチア『VENUS』にも選出。イベント・メディアにも多数出演。現在、PEPsチアスクールインストラクター、東京ヤクルトスワローズ公式ジュニアチアリーダーズSparklesディレクターを務める。
荒井 しおり(あらい しおり)
5月5日生。東京都出身。玉川大学ダンスドリルチームJULIUSで主将を務め、全米大学チアダンス選手権で2位入賞。大学卒業後はプロ野球東北ゴールデンエンジェルスの発足から5期連続で在籍。キッズチア指導にも携わる。現在、東京ヤクルトスワローズ公式ジュニアチアリーダーズSparklesの他、ジュビロ磐田公式ジュニアチアリーダーズJubiesにてインストラクターを務める。
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