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チアリーディングは、子供から大人までそれぞれの年代で楽しみながらできて、様々な効果が得られるスポーツです。単にダンスを踊るだけではなく、頑張っている選手やチームの応援を通して“一体感や感動を共有する”といったスポーツの新たな楽しみを知ることもできます...
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PEPsチアリーダーズ
連載インタビューvol.3
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目標を失った中で出会ったチア
 
Q. クラシックバレエは、高校2年生で辞めてしまったそうですね。

A. はい。有名なバレリーナを多数輩出している教室に通っていたんですが、わたしはその教室で、すごく微妙な位置にいたんですね。トップではないけれど下でもない。高校の時、バレエの先生から「由香子ちゃんはソリストにはなれる」と言われたんです。ソリストは主役の次。
このまま一生ソリストにしかなれないんなら、バレエはもう辞めてもいいんじゃないかと。同じクラスの子のうち、バレリーナにならなかったのは私だけだと思います。


Q. チアとの出会いはどのように?

A. バレエを辞めてから大学受験の勉強を始めたのですが、高校3年の秋ぐらいに、ふっと、「なんで私、勉強しているんだろう?」って、疑問に思ってしまったんです。先が見えなくなってしまった。いま考えたら本当に笑っちゃうんですけど「死んでもいいかな」とまで思ったんですよ。「この先、生きていても何もない」と。
そんな時、気分転換を兼ねて、大学の学園祭を見てまわったんですね。第一志望はなんとなく早稲田だったので、早稲田の大学祭に行って、その足で日本女子大に行って、目白駅に向かったら、学習院があったので、ただなんとなくキャンパス内を通ってみたんです。でも、そこでチアの演技を偶然見ました。その瞬間、「どうしてもこれをやりたい!」と思って、志望校を早稲田から学習院に変えました。
 
どうしてもチアがやりたい!
 
Q. チアを見たのは、それが初めてだった?

A. チアという存在自体も、よく知らなかったですね。なんとなく「がーんばれ~」みたいな感じで野球の応援している人たちみたいなイメージしかありませんでした。少し馬鹿にしていたというか。でも、初めて本物のチアの演技を見て、すごくびっくりして、一気に惹かれました。
ただ、オチがありまして……。
落ちたんです、学習院。でも、学習院短大は受かった。学習院の四年制と短大しか受けていなかったので、高校の先生には「受かったので行きます」と。短大でもチアには入れると聞いていたもので。先生からは「絶対に浪人しなさい。浪人すれば、必ず早慶に入れるから」と反対されました。でも、私がやりたいのはそういうチアじゃない。もっとすごいやつなんですって。先生が困り果てて、親に説得するように言ってきましたが、うちの両親は娘の行きたいところに行かせますのでって。
 
Q. 反対を押し切って入学した。

A. でも、またこれもオチがあって……。
短大に入って学習院大学のチアリーダー部に行ったら「去年から短大生は入れないことにしました」と言われました。部活は授業が4時15分に終わって4時半から始まる。大学のキャンパスは目白、短大は高田馬場。短大生は間に合わない。だから入れない事にした、と。
でも一週間毎日通って「どうしてもチアがやりたい。このために短大入ったのでお願いします!」と頼みました。そしたら、「じゃあ特例で入れるけど、絶対、4時半から1分でも遅刻してはいけません」と。それで私は、4時半に間に合うよう、高田馬場から目白まで毎日タクシーで通いました。最後の授業は練習着で出て、終わると同時にダッシュでタクシーに乗って。途中で編入試験を受けて四年制に編入するまで、その生活を続けました。
 
後ろだって重要なポジション
 
Q. チアを始めて、自分で変わったな、と思う部分は?

A. バレエを習っていた頃は、「本番より練習のほうが好き」とは言いつつも、結局は自己中心的だったと思うんです。大学でチアリーダー部に入った当初、まわりは全然ダンスをやっていない子ばかりの中、私はバレエ経験者だったので、自信があったんですね、体も柔らかいし。でも、バレエのクセがありすぎて、逆にチアのモーションが出来なかった。それですごく怒られて、最初は、ポジションも後ろのほうになっていました。自分が後ろのポジションにいるのは、やっぱり気に入らなかった。でもチームメイトから、「後ろだって重要な役割だし、チアは全員で一つの円を作るもの。だからどのポジションも同じだし重要」と教えてもらって、考え方が大きく変わりました。
そういう考え方は、いま自分が教える立場になって、生徒さんに一番伝えたい部分でもあります。
 
チアを全く知らない人にも、チアを広げていきたい
 
Q. これからの自分の目標、夢は?

A. 5月から、現在の港区の拠点だけでなく、荻窪、吉祥寺、東戸塚、他で、未経験の大人のためのチアクラスを定期的に開催していくことが決まりました。
大人になってからチアを始めるのは、すごく勇気がいるし、敷居が高いと思っている人が多い。なので、いま考えているのは、チアの要素を取り入れた『チアセラピー』みたいな事が出来ればと。私は、トップレベルの人を育てることよりも、初心者と初心者より下、チアのことを全く知らない、興味のない人にもチアを広げていきたいですね。
ポンポンを持った子どもたちが、日常でチアが出来るような環境が作れたら、学校教育も、そして世の中全体も変わるかな、って。夢は大きいですけど(笑)。


(取材・文/会津泰成)

安中 由香子(あんなか ゆかこ)
9月16日生。3~17歳までクラシックバレエを小野正子・北原秀晃に師事。学習院大学応援団チアリーダー部 SPARKSでチアリーディングを始め、全日本学生選手権 3位、日米選手権 9位。Xリーグクラブハスキーズで活躍。2003~6年USAオールスターチアリーダーズ、2005年XリーグオールスターVENUSに選抜。USAイベントディレクターを経て、現在、会社員の傍ら、チアダンスチームANNYS主宰。
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